透明、という感覚
初めて読んだのは17歳の時。
図書館で表紙に惹かれて手に取って、表紙の一文に心を惹かれてページをめくって
読み終わってから、呆然としたことを覚えている。
あれを余韻と言うのだろう。他のことを考えたくなかった。
透明さを感じるには、透明でないものが必要だ。
真っ白な世界では白を感じられない。
白でないものがあって、初めて白が分かる。
つまり差が、違いが必要なのだ。
私を知るには、私以外が必要だ。
この世界と物語の中には透明ではないものがたくさんあって、だからこそ透明なものがわかる仕組みだと今は思う。
何を持ってして透明か、と言われたら困るけれど
少なくともシンプルだとは思う。
シンプルなものは綺麗だ。削ぎ落とされた美しさ。