ビビりあげろんの記録と実験

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【ネタバレ注意】漫画「ペリリュー」から考える向き・不向きの話

以下ネタバレしますので注意ですよ。

「ペリリュー~楽園のゲルニカ~」という漫画が好きなのですが

https://www.hakusensha.co.jp/wp_hakusensha_common/images/postimage/2018/05/9784592162155.jpg 白泉社のHP↓より

www.hakusensha.co.jp読んでいて、「向き不向き」に通じるもんがあるなぁと思いました。

色々考えたのでまとめてみます。 

漫画の内容は、戦争の話なのでお察しください。
絵柄がかわいいからこそ悲惨さが伝わる、と言われる作品ですが
個人的には「戦場の中のいつもの日常」が見えるのが好きです。

 

 

 

さて、向き不向きの話。

 巷では仕事に対して「得意・苦手」と「好き・嫌い」で色々言われますね。

「好きなことをしよう」「得意なことを見つけよう」などなど。

これを四分割してみました。

①得意で好きなこと

②得意で嫌いなこと

③苦手で好きなこと

④苦手で嫌いなこと

向いているとはどういうことか?
私は「得意+好き」の状態だと考えます。

もっと言えば「得意であっても嫌いなら、向いてねーだろ」

と考えます。まぁ当たり前の話ではありますが。

でも大して好きでもないのに「得意なんだから向いてる」とされることありますよね。

あるいは周りと比べて得意だから向いてると言われるとか。

苦手なことについては向いてないとされることがほとんどだと思いますので

今回は「得意なこと」に焦点を絞って考えました。

 

①得意で好きなこと

主人公の田丸君(表紙のど真ん中の人)は、運動も苦手・戦うのは怖い・ひたすら逃げるという感じで戦闘には「向いていません」。

(戦闘に向いてる人間なんているの?というのは別の話として・・・)

しかし上司から「功績係」という役職を与えられます。

端的に言えば「亡くなった人の最期を雄姿をねつ造して遺族に伝える仕事」です。

かっこよく死んだとなれば、当時の人としては誇り(少なくとも周囲には誇れる)でしょう。

1巻で「かっこよく死んだ父」を誇りに思う同僚が出てきますので、一定の効果はあると思われます。

もっと言えば、亡くなった人だってかっこよく死にたかっただろう・・・という考えからです。「親父みたいにかっこよく死ぬんだ!」とその同僚は言っています。

その仕事の是非についてはともかく、なぜ上司はこの仕事を田丸に振ったのか?

上司は言います。

「漫画というものは実際にはない物語をつくるのだろう

 俺はそれが苦手なのだ」

「お前のその性質を見込んでひとつ仕事を頼みたい」  (1巻第1話)

 「お話をつくる」のは田丸にとって「得意」だと判断したからです。

さらに彼はヒマさえあれば絵を描いていますから、よっぽどの「好き」ですね。

だからこそ上司は田丸を見込んで仕事を振ったわけです。

 ・・・余談だけど、この上司が超かっこいいのですよ。マジ惚れるヤバイ。

 

 閑話休題

「得意なことで好きなことで、尊敬する上司から自分を見込んで頼まれた仕事」

今の日本であればこれ以上ないというくらい喜ばしい仕事でしょう。

確実に「向いている」と言えます。ブラック仕事でなければ

「功績係」の場合は心から好きなことではないでしょうけれど・・・

現代日本なら、本屋さんの手書きPOPを尊敬する店長から一任される、といった所でしょうか。

 

②得意で嫌いなこと

田丸君と行動を共にする吉敷君というキャラがいます。

5巻表紙の左側、目が大きい人です。

田丸君と同期なのですが、彼は同期の中で唯一の上等兵。出世頭です。

吉敷君が敬語じゃなくていいと言っているので普通に話しています。

腕のいいスナイパーで、今5巻まで発売されていますが、ここまでで外したの1回くらいじゃなかったかと。

その1回も餓死しかけている状態で、ちょっとずれてしまったという腕の良さ。

また適格な判断力と行動力もあります。

米兵に見つかった時、間髪入れずに米兵の喉を切り裂きました。

声を出させないように一発で気道を切って殺す。なかなかできませんよ。

 

ここまで読むと「戦闘に向いている」ように見えます。

彼は人を殺すのは好きではないし、基本的には優しい人です。

当たり前?いや実はそうではありません。

冒頭では「アメ公の好きにはさせねぇ!」「アメ公やっつけるまで頑張ろうぜ!」と

前向きで

死にかけた米兵がつぶやく「ママ」が母親を指していると気づいてから

しょっちゅう米兵の亡霊にうなされています。

他にもケガ人を足手まといと言った同僚に対して

「自分がケガしても同じこと言えんのか」とイラついたりしています。

また田丸君も吉敷君をこう評しています。

勇気があって

判断もできて

銃も剣も強いけど

気が優しくて

ホントは あんまり

戦うには向いてない人なんじゃ・・・    (2巻第8話より) 

上記のアメリカ兵の喉を切って殺した後、震えながら呆けているんですよね。

とっても心配になります。

イケイケだと思っていた営業部のエースが、実は内向的で気が弱いけど無理して演じているといったところでしょうか。

現代日本なら「早く転職しろ」というレベルです。腕はいいのですから。

彼は米農家だそうなので、銃の資格を取って猟が出来る期間に鹿を獲ってジビエとか。

散弾銃なしで鳥も捕れそうです。

 

そんなわけで向き・不向きって簡単に言うけど

実は色んな要素で判断されているんだなぁと思うのでした(なんだこのオチは)